【さんたファーム】完全予約制、IT管理…目指すものは大きなイチゴとお客さんの笑顔でした

千葉市若葉区に建ついくつものビニールハウス。

扉を開けるとイチゴの甘~い香りに包まれます。

「これからイチゴ狩りだ♪」って誰もが微笑んでしまう瞬間です。

靴を脱いでサンダルに履き替えたら、人工芝が一面に敷かれた受付へ。

奥は圃場(イチゴ畑)です。白いシートが敷かれています。

あれ?って思いますよね。

そう、さんたファームはほかのイチゴ農園と違います。

農園なのに「土」が見えないのです。

 

そんな新しいイチゴ農園を作った篠崎俊介さんと金巻燦太さんに話を聞きました。

出会いは趣味のバイク!真逆の性格を生かしたビジネスモデル

「バイクのツーリングで出会った当時はまさかイチゴの観光農園をやるとは思いませんでした」と金巻さん。

都立園芸高校、大学の園芸学部を卒業した金巻さんは、いつか園芸と好きな接客を同時にできる仕事がないかと考えていたそうです。

 

篠崎さんは学生時代に起業し、IT関係の仕事でタイに住んでいた経験もありました。

語学やIT技術を農業と組み合わせたら面白いのに、と思っていたそうです。

そんな二人が趣味のバイクを通じて出会い、さんたファームが生まれました。

正反対の性格がいろんなところで活きています(笑)

「バイクを通じて出会いましたが、彼(=金巻さん)は学生時代に園芸を学んできているのに当時教習所で働いていて、キャリアプランを間違えているのではないかと思いました(笑)」

と話す篠崎さん。

 

インタビューも和気あいあいと進み、お二人がお互いをいじりあう様子はまるで漫才のようでした。

農園が軌道に乗っている証拠なのかもしれませんね。

 

そんな現実的な思考をする篠崎さんに対して、金巻さんはどこか楽観的です。

 

「入口の看板に書くキャラクターのデザインをどうしてもお願いしたいデザイナーさんがいたんですね。(篠崎さんに)無理だからやめとけと反対されましたが、うるさいな、と思って勝手にお願いしちゃいました(笑)」

結果、なんとその方が引き受けてくれ、イチゴのキャラクターを作ってもらったそうです。

ちなみに「さんたファーム」の由来も、金巻燦太(さんた)さんのお名前から。

「自分の名前がついた農園、嬉しくないですか?燦太という名前も僕は気に入ってるんです。」と金巻さんは言いますが、篠崎さんはどうにも腑に落ちない様子。

 

どこまでも正反対のお二人です…(笑)

常識にとらわれない新しい観光農園

イチゴの成長を促すために敷かれた白シートで圃場内は明るくて、あたたかくて。

天井に目を向ければハウス越しに青空が広がっていて・・・まさに異空間です。

靴に土がつくこともないので、とても清潔。

「従来のイチゴ狩りのイメージとはかけ離れた非日常感を味わっていただいて、いい思い出にして欲しい」というふたりの想いから作り出したもの。

スピーカーから流れる爆音のJ-POPも二人のアイデアです。

音楽を聴きながらできたのが良かった、というお客さんも多いのだとか。

もちろん肝心のイチゴもつやつやとしていて、みずみずしい絶品です。

味も甘くてジューシー♪

さんたファームでは小さな実や花を取り、大きな実に栄養を集める「摘果(てきか)」という間引きを行なっています。

手間がかかるため、ほかの農園ではあまり行わないことだそうです。

1万2000株をひとつずつ見て、どれを間引くか選んでいく。大変な作業です。

でも「こんなに大きくて美味しいイチゴ初めて!」というお客さんの言葉で苦労も報われると二人はいいます。

 

床に這わせる「土耕(どこう)栽培」ではなく、棚でイチゴを栽培する「高設(こうせつ)栽培」なので、屈まなくても収穫できるところも好評です。

車椅子や足が悪いお客様でも楽しめるのはありがたいですよね。

ITを駆使した最先端のイチゴ作りとは?

「イチゴはハウス中の環境を整えてあげることが重要です」と篠崎さん。

自作のセンサーでハウス内の温度を測り、ITで空調などを管理しています。

ハウスのなかを常に25〜27℃に保たれていて、入ってみると2月というのにTシャツでも暑いくらい。

休憩スペースでくつろいでいると気持ちのいい風を感じることがあります。

これもシステム管理によるもの。

取材中にも何度も何度もビニールハウスの側窓(そくそう)が自動で上下して温度調節を行っていました。

 

「人間ができないことは機械にやってもらい、空いた時間は摘果をしたり、お客様とお話したりしています」と金巻さん。

「全てITではなく、猫の手も借りていますよ(笑)野ねずみが種を食べてしまうので猫に活躍してもらっています!看板猫のブーちゃんです。」

受粉にはミツバチが活躍しています。

人の手だけでなく、ITや他の動物たちの力も借りながら、美味しいイチゴができあがっていくんですね。

完全予約制でゆったりと楽しめるイチゴ狩り

一般的なイチゴ狩りは30分で200人くらいが参加します。

「3000円くらい入場料をいただいて30分。それではあまりにも高い」と二人は思ったそうです。

それならば予約制にしてじっくりと楽しんでもらいたい。

そんな気持ちで1日5枠、各1時間で定員50人の完全予約制を導入しています。

「イチゴ狩りできます!」といったのぼりも立っていません。

休憩所ではドリンクサービスも充実。

いちごの味をリセットできる無糖のコーヒーや濃い日本茶を飲みながら休憩ができます。

千葉市にしてよかった。充実した制度や温かい人が決め手

「篠崎さんと会って、自分が好きなイチゴを作って、みんなに食べて笑顔になってもらう。そんな未来図を描けたんですよ」と金巻さん。

ツーリングでいろいろな観光農園を巡りながら、次第にイチゴへと気持ちが傾いていくときに、千葉市の制度を見つけたそうです。

農業研修制度はもちろん、市が仲介して農地を紹介してくれるなど、全国でも類を見ないほど就農支援が手厚いのだとか。

就農したあとも、研修させてもらったイチゴ農園からSNSで連絡をこまめにもらったり、イチゴ園同士の飲み会に誘ってくれたりと、情に厚く、人との距離が近い千葉のあたたかな人たちに彼らは支えられています。

 

「千葉市を選んで本当によかった」と話すふたりの姿が印象的でした。

 

2019年9月の台風ではハウスの屋根が吹き飛び、停電も経験しました。

2019-2020シーズンの開業に向けて準備を進めていた時のことでした。

多くのトラブルを超えて食べた初めてのいちご。さぞかしおいしかったのでは?と尋ねてみると・・・

「ゴタゴタの後だったので、初めてできたイチゴには正直そこまで感動はなかったです(笑)。いつの間にかできていた、という感じで…。それよりはイチゴがちゃんと花を咲かせたときの方が嬉しかった」と金巻さん。

花が咲いたということは実が生る。ああ、イチゴができると思ったそうです。

常に進化し続ける。自分たちにできることとは

「春休みが終わるとお客様が減りますが、4月は一番収穫量が多いので、冷凍しておいて夏場に削りイチゴなどを提供することも考えています」とのこと。楽しみですね!

 

学生時代からIT分野の勉強などをされていて、農園全体の経営や管理を自動化していく篠崎さんと、

接客の経験や思い切りの良さ、パック詰めのスキルなどをいかして接客や対外交渉などをこなしていく金巻さん。

お二人の長所がきれいにかみ合ってこれまでにない観光農園「さんたファーム」が生まれたのですね。

 

「常に進化し続けなければならないと思っています。常識にとらわれない新しいイチゴ狩りが広がっていくといいですよね」とお二人は話します。

非日常体験としてのイチゴ狩りができる、さんたファーム。

「千葉県で一番大きい!」といっても過言ではないイチゴを

おなかいっぱい食べにいきませんか?

さんたファームの基本情報・アクセス

さんたファーム

住所:〒265-0074 千葉県千葉市若葉区御殿町1-91

アクセス:千葉都市モノレール「千城台」駅から車で10分

TEL:050-3628-1515(自動音声対応)

URL:https://www.santa-farm.jp/

料金:2300円(2020年4月中旬から1900円)(現金不可なのでご注意ください)